「借家契約解除の正当事由」とは、貸主(家主・大家)が賃借人に対して借家契約の解除を求める際に必要とされる、法律上の正当な理由のことを指します。
借地借家法では、賃借人の居住の安定を図るため、貸主の都合だけで一方的に契約を解除することは認められていません。契約を終了させるには、一定の「正当事由」があることが求められます。
正当事由として認められる事情には、以下のような例があります。
-
賃借人による契約違反賃料の滞納、騒音や悪臭などの迷惑行為、無断での改装や用途変更など、契約に違反する行為がある場合。
-
貸主による自己使用の必要性貸主自身やその家族が住むため、あるいは営業上の利用など、物件を自ら使用する必要がある場合。
-
建物の老朽化や使用困難建物が老朽化し、安全性や使用継続に支障があると判断される場合。
-
土地・建物の有効活用の必要性都市計画や再開発、土地の有効利用や高度利用といった社会的・経済的な必要性がある場合。
なお、正当事由の有無は、貸主・賃借人双方の事情を総合的に考慮して判断されることになります。
たとえば、貸主の必要性が比較的小さい場合でも、立退料の提供などをあわせて行えば、正当事由が認められることもあります(立退料は「補完要素」として評価されることがあります)。