「使用貸借」とは、ある物を無償で貸し借りする契約のことを指します。
民法では典型契約のひとつとして規定されており、貸主が物を無償で貸し出し、借主がその物を使用・収益した後、契約終了時に返還することを約束する契約です。
賃貸借との違いは、対価(賃料)が発生するかどうかにあります。
- 賃料を支払って借りる場合は「賃貸借」
- 無償で借りる場合は「使用貸借」 となります。
使用貸借には、次のような特徴があります。
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無償契約貸主は報酬を受け取らず、借主は無料で物を使用・収益できます。
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片務契約借主は物を使用・収益する権利を持ちますが、貸主は報酬を受けないことに加えて、物を無償で提供しなければならないという義務(用益受忍義務)を負います。
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第三者に対する対抗力がない使用貸借契約は、原則として第三者に対して権利を主張(対抗)することができません。
そのため、たとえば貸主が物件を第三者に売却した場合、使用貸借による使用権を第三者に対して主張できないことがあります。
なお、親族間などで土地を無償で貸しているようなケースでは、使用貸借なのか、賃貸借なのか、あるいは無償の地上権なのかが問題となることがあります。 契約内容が明確にされていない場合、法律上の扱いが争点となることもあるため注意が必要です。