「買戻しの特約」とは、将来不動産を買い戻すことを前提に、売買契約時に付ける特約を指します。売主が買戻し権を行使できる期間は、法律上最長で10年と定められています(民法第579条)。
買戻しの特約が付いた場合、対象となる不動産には買戻し特約の登記を行う必要があります。この登記をしておくことで、たとえ不動産が第三者に転売されたとしても、売主はその第三者に対しても買戻しの権利を主張することができます。つまり、最初の買主だけでなく、その後の所有者からも不動産を買い戻すことが可能になります。
また、買戻し期間が満了していない間に行われた所有権移転登記や抵当権設定登記については、買戻しが実行されると効力を主張できません。第三者がこれらの権利を守るためには、買戻し期間が満了するのを待つ必要があります。
なお、買戻し期間が満了しても、買戻し特約の登記は自動的には消えません。登記の抹消には、現在の所有者と買戻権者の共同申請が必要となります。