「短期賃貸借」とは、民法第602条において定められている、一定期間を上限とする賃貸借契約のことです。
具体的には、対象物ごとに次のような期間が上限として定められています。
山林(樹木の植栽または伐採を目的とする場合) | 10 年 |
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上記以外の土地 | 5 年 |
建物 | 3 年 |
動産 | 6 か月 |
これらの期間を超える契約を結んだ場合でも、法律上は上限期間までの契約とみなされることがあります。
かつては、こうした「短期賃貸借」であれば、抵当権が設定された不動産が競売にかけられても、買受人に対して賃貸借契約を主張(=対抗)できるという特例的なルールがありました。これは「短期賃貸借の保護制度」と呼ばれ、登記がなくても賃借人を一定程度保護する仕組みとして運用されていました。
しかし、この保護制度は2004年(平成16年)3月31日をもって廃止され、現在では、短期であっても、登記などの対抗要件を備えていなければ買受人に賃貸借契約を主張することはできません。
そのため、抵当権が設定されている土地や建物を借りる場合には、万が一その不動産が競売にかけられたとき、賃貸借契約が引き継がれない可能性があることに注意が必要です。