仮処分とは かりしょぶん

「仮処分」は、民事訴訟における一時的な措置で、裁判の結果が確定するまでの間、特定の行為を禁止したり一定の状態を保持したりするための手続きです。

仮処分の主な特徴
  • 暫定的な措置
    仮処分は、裁判が終わるまでの間、一時的に特定の行為を禁止したり、一定の状態を保持したりするための措置です。
  • 権利関係の保全
    仮処分は、訴訟の対象となる物や権利関係が、裁判の結果が出る前に変化しないようにするために行われます。
    例えば、不動産の所有権を争う訴訟中に、相手がその不動産を勝手に売却できないようにする仮処分が認められることがあります。
仮処分の種類
  1. 係争物に関する仮処分
    裁判で争われている物について、判決が出るまでの間、勝手に処分されたり変更されたりしないようにするための仮処分です。
    例: 建物の解体を禁止する仮処分、土地の使用を一時的に認める仮処分
  2. 仮の地位を定める仮処分
    特定の法律関係について、裁判の結論が出るまでの間、一時的に仮の地位を認めるための仮処分です。
    例: 賃貸借契約の有効性が争われている場合に、訴訟が終わるまで賃借人がそのまま使用を続けられるようにする仮処分
仮処分の要件

仮処分が認められるためには、次の2つの要件を満たす必要があります。

被保全権利の存在
仮処分を申し立てる人が、保護されるべき正当な権利を有していること
保全の必要性
裁判が終わる前に権利が侵害される恐れがあり、仮処分による保全が必要であること
補足:仮処分と仮差押えの違い

一般的な会話の中では「仮処分」という言葉が広い意味で使われ、その中に「仮差押え」を含めることがあります。しかし法律上は、「仮差押え」と「仮処分」は別の手続きになります。

仮差押え
金銭債権を確保するために、相手の財産の処分を禁止する
仮処分
金銭以外の物や権利関係を守る