「危険負担」とは、売買契約などの双務契約が成立した後に、引渡し等の債務が債務者に責任がない事由で履行不能になった場合に、その損害(=危険)を当事者のどちらが負担するかという問題です。
(関連:債権・債務 とは)
債務者主義 |
一方の債務が履行不能となったら、もう一方(債権者側)の反対債務も解除することができる。 例:売買契約が成立した後に目的物が地震等で消失し、売主が引渡しを出来なくなったら、買主は代金の支払いを拒否することが出来る(目的物の引渡し債務者がその損害を負担する) |
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債権者主義 |
一方の債務が履行不能となっても、もう一方(債権者側)の反対債務を解除することはできない。 例:売買契約が成立した後に目的物が地震等で消失し、売主が引渡しを出来なくなっても、買主は代金の支払いを拒否することが出来ない(目的物の引渡し債務の債権者がその損害を負担する) |
以前は、債務者主義を原則としながら、例外として特定物の物権設定・移転の契約(不動産売買契約等)については債権者主義とされていましたが、2020年の民法改正により危険負担の考え方が見直されました。
現在は、原則債務者主義に統一、反対給付債務は「消滅」から「履行拒絶権」の付与に改められ、危険の移転時期は「引き渡し時」と明確になっています。