公信力とは こうしんりょく

「公信力」とは、ある権利関係が公に示されている場合に、その内容がたとえ事実と異なっていたとしても、それを信じて取引した者を保護する法律上の効力のことをいいます。
つまり、実際には権利が無かったとしても、外から見て権利があるように見える状態(登記や占有など)があり、それを信じて取引した人がいれば、その人は法律上保護される、というのが公信力です。

たとえば、登記簿上はAさんが土地の所有者と記載されているが実際にはAさんが本当の所有者ではなかった場合、登記を信じてBさんがその土地を買ったときにBさんの権利がどうなるか…というような場面で、公信力が問題になります。

この公信力と関係のある考え方に、「公示の原則」があります。

公示の原則:権利の変動は、公示を備えていなければならない、という原則です。
たとえば売買などによる所有権の移転は、登記や占有のように外から見て権利があるように見える状態(公示)を必要とします。

そして、公信の原則は、その公示された内容が事実と異なっていた場合に、それを信じて取引した人を保護するべきだ、という考え方です。

日本の法律では、
動産(家具や車など)については、「占有(持っていること)」に公信力が認められています。つまり、誰かが実際にそれを持っている状態があれば、それを信じて取引した人は保護されます。
不動産については、登記に公信力は認められていません。つまり、登記を信じて取引しても、保護されない可能性があります。 ⇒もっと詳しく「登記の公信力