「セットバック」とは、建物を建てる際に、敷地の一部を後退させて道路とみなすことを指します。これは、建築基準法の道路に関する規定に基づくものです。
建築基準法では、建物の敷地は、原則として幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならないと定められています。 しかし、古い市街地などでは、幅4メートル未満の狭い道路が多く残っています。 このような道路に接する土地に建物を建てる場合、敷地の境界線を道路の中心線から2メートル後退させた位置まで下げる(セットバックする)必要があるのです。
セットバックによって、将来的に道路幅を確保しやすくなるため、防災や通行安全の観点からも重要な制度とされています。特に、消防車などの緊急車両の通行を確保する目的もあります。
この規定は、都市計画区域および準都市計画区域内の建物が建つ土地に適用されます。都市計画区域とは、都市として整備・開発・保全を図る区域として、都道府県によって指定される区域です。
セットバック部分は、建物の建築面積に含めることができず、建ぺい率や容積率の計算からも除外されることがあります。また、自治体によっては、将来的にその部分が正式な道路用地となることを想定して、特別な取り扱いがなされることもあります。